地球深部探査船 ちきゅう
見学会
2005/9/19

ちきゅう (海洋開発研究機構
57,087総トン、全長210m、全幅38m
乗組員150名

海底深くマントル層まで掘削してコアを採取し、地震のメカニズム、地球の歴史、地殻のなかの生命を調査することを目的に建造された「ちきゅう」が完成し、名古屋でも見学会が実施されました。今後、世界の研究者が乗船して(船内の公用語は英語)、掘削、研究が始まります。


名古屋港金城埠頭での船内見学に先立ち、国際展示場内で「ちきゅう」建造の工程や、海洋開発研究機構の活動に関する展示、説明を受け、最後に見学時の注意事項を聞きました。

モリゾー&キッコロも登場したオリエンテーション 「ちきゅう」、地震・地学、生物に関する説明コーナーを設置

ちきゅう(地球深部探査船)

よこすか(潜水調査船支援母船) しんかい6500(有人潜水調査船)
の1/2サイズ模型


国際展示場内での説明の後、バスで岸壁へ移動して、いよいよ船内見学となりました。テロ対策強化の影響もあってか、岸壁内での居場所はかなり狭い範囲に限られ、「ちきゅう」の全景写真を撮ることはできませんでした。

QE2と同じ岸壁に接岸。前には名港西大橋
(名古屋港海上交通センターライブカメラから)

船尾側:まるで工場のような船体
帰りのバスはテントの中で椅子に座って待つ
船首側:歓迎のアーチの下を通って乗船
赤いコーンの向こうは立ち入り禁止

ブリッジの前にはヘリコプターデッキがある 船体中央の穴、ここから切削用のドリルパイプが降りる

「ちきゅう」は船底に6個のスラスター(タグボートのスクリューと同様のスクリュー)が装備され、掘削時に海上の一点に留まるために使用されます。また、移動航海時には推進用としても使用されます。

掘削は何か月にも及ぶことが予想されるため、台風などで荒天になった場合は、掘削パイプを切り離して一時避難した後、天候の回復を待って同じ場所に戻り、もう一度パイプを繋ぎなおして掘削を継続するとのこと。そのため、位置測定の精度と、位置の保持の性能はかなり高いとのこと。

ブリッジのウィングから見た掘削やぐら 掘削して採取されたコアは
ここから船内(手前)に運びこまれる

工場のようなデッキの建造物とうって変わって、船内は大学の研究室がそのまま乗っている雰囲気です。地震・地質を調べる研究室と生物について調べる研究室があります。
船内では、有毒ガスや病原菌に対する対策も成されています。船内の床と天井にガス検知器を設置して、重さの異なるガスの検知が可能となっています。
また、病原菌に出くわした場合を想定して、研究室の内部の気圧を下げて外部に菌が混ざった空気が漏れないようにしたり、排水が海に漏れないようにする対策も施されています。

医療用と同じCTスキャン
コアはまずCTスキャンにかけ、検査部位の決定や検査方針の計画策定の参考にする
超伝導磁力計
地球の歴史の中で、地球の磁力のS極とN極は何度も入れ替わっている。この逆転現象を利用して採取した地層の年代を特定する

炎の海にも耐えられる救命艇
窓が無く、冷却用のノズルが天井についている

船の見学会というよりも研究施設の見学会のイメージだった。何れのエリアにも専門家の人がいて、素人の質問に丁寧に答えて頂き、非常に良い印象を受けた見学会だった。乗組員、説明員の方の元気な挨拶が特に印象に残った。


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