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さんふらわあさつま 弾丸ツアー
(2018/9/16)

さんふらわあ さつま
(フェリーさんふらわあ)
総トン数13,659トン
全長192m、全幅27m
(2018年5月就航)

9月15日から就航する「さんふらわ きりしま」に乗船しようと思ってフェリーさんふらわあのHPを見ていたら、系列のさんふらわあトラベルが主催するお得なツアーが目に入ったので、そのツアーに参加することにしました。船は「さんふらわあ さつま」になってしまいましたが、就航からまだ4か月なので、こちらもまだまだ新造船です。

さんふらわあトラベルのツアー「名勝 仙巌園と西郷南洲顕彰館 西郷どん ゆかりの地 鹿児島 3日間」は、「さんふらわ さつま」の往復と志布志港発着のバスツアー(昼食付)がセットになっています。船室がスーペリアの場合、料金27,500円です。船だけの弾丸クルーズの船賃が24,000円なので、追加3,500円で昼食付のバスツアーに参加できたことになります。


◆大阪南港出港

大阪南港コスモフェリーターミナルの第1ターミナルでツアーの添乗員さんから乗船券を受け取った後は、志布志港でバスに乗車するまで自由行動です。各自、港内シャトルバスに乗って第2ターミナルに移動して「さんふらわあ さつま」(以後さつま)に乗船しました。

第2ターミナルの入口には、「さんふらわあ きりしま」の就航を祝う花が飾られていました。

さんふらわあ きりしまの就航を祝う花

乗船記念の撮影用パネルがありました。柳原良平さん作のさんふらわあですが、これは大分航路の船(ぱーる、ごーるど)です。
窓口に並ばなくてもチェックインできる自動チェックイン機がありました。

乗船記念の撮影用パネル
自動チェックイン機

出港1時間前から乗船できると聞いていましたが、ちょっと遅れて乗船開始になりました。船内にはエスカレーターとエレベーターが設置されていますが、岸壁から舷門に掛かるタラップに段差があります。ベビーカーのお客さんはベビーカーを抱えてタラップの段差を昇る必要があります。隣にはスロープ状のタラップがあるのですが、使っていません。潮位が高くて使えないのかもしれません。

段差があるタラップを昇る 荷役が続いている

さつまと同じ17時出港のフェリーきょうとⅡが先に出港していきました。さつまは、フェリーきょうとⅡの後に続いて出港予定でしたが、出港が遅れています。

フェリーきょうとⅡ(名門大洋フェリー)出港

さつまは20分遅れで出港しました。理由は荷役遅れです。お陰で、危うく乗り遅れそうだったミニバン2台とバイク1台も無事乗船できました。

大阪南港出港 壊れたコンテナ 台風の被害?

さつまの推進機関は一軸に二重反転式のスクリューが付けた省エネに優れた方式です。通常航行中は主機エンジン2基で駆動しますが、入出港時は電動モーターがスクリューを回す複雑な機関です。

さつまと同じ形式の推進機関を持つ商船三井フェリーの「さんふらわあ さっぽろ」は、推進機関に問題が発生し長期のドック入りを余儀なくされました。本船さつまも"船体整備の為”10月に1カ月間ドック入りします。さつまも「さんふらわあ さっぽろ」と同じ問題を抱えているのかもしれません。

さつまは、出港時に煙突から黒い煙を吐き出しています。景色が煙って見えるくらい酷いです。デッキの上にも煤で汚れている箇所があります。これは昨年乗船した「さんふらわあ ふらの」と同じです。「さんふらわあ ふらの」は「さんふらわあ さっぽろ」の同型船です。

出港時の煙突からは黒い煙 

出港して30分後、泉大津から出港した阪九フェリー「いずみ」と針路が交差する位置関係になりました。幸い、いずみが本船の船尾を廻ってくれるというので、さつまは真っすぐ走りました。

いずみ(阪九フェリー)

フェリーさんふらわあはトラブルが続いています。大分航路の「さんふらわあ ぱーる」は機関故障のため約9カ月間ドック入りしていました。代替として(先代)「さんふらわあ さつま」が神戸~別府航路に臨時で就航していました。「さんふらわあ ぱーる」が8月末に復帰し、お役御免となった(先代)「さんふらわあ さつま」が本船の前方約60マイルを航行しています。インドネシアに売却されて「DHARMA FERRY Ⅶ」の船名に変わっています。

一方本船も、前述の通り10月に一カ月間ドック入りが予定されています。その代替として(先代)「さんふらわあ きりしま」が「さんふらわあ きりしま1」と名前を変えて(新造船)「さんふらわあ きりしま」と2隻で大阪~志布志航路を運航します。その「さんふらわあ きりしま1」が神戸の川崎重工に停泊中であることがAISで確認できます。

先代さんふらわあ さつま
が60マイル前方を航行中
先代さんふらわあ きりしま
は川崎重工神戸に停泊中

船内放送で「間もなく外洋に出るので揺れる」とアナウンスがありました。実際その通りになりました。遠くフィリピンで多くの犠牲者を出した台風22号の影響なのか、強いピッチングがさつまを揺らしました。この揺れは夜中も続きました。

●アトリウム/プロムナード

船体中央に三層吹き抜けのアトリウムがあります。シックだけど薄暗い感じだった先代さつまに比べて、広く、明るい雰囲気になりました。

6階には、広々としたプラムナード、ショップ、レセプション、キッズルームがあります。

プロムナード

ショップ、その奥にはレセプション 大きなさんふらわあさつまの絵
は記念撮影のポイント

キッズルームのデザインは、商船三井フェリーの「さんふらわあ ふらの」にそっくり。船内各所を説明する柳原良平さんのイラストは、先代さつまです。本船の船内説明と勘違いする人はいないでしょうか。

キッズルーム 先代さつまの船内紹介

アトリウム

7階に展望浴場とシャワールームがあります。展望浴場は深夜には閉鎖されますが、シャワールームは航海中いつでも利用可能です。

展望浴場とシャワールーム お風呂上りに休憩できる

8階のアトリウム周りには多くの椅子やソファが設置されていて、容易に空席が見つけられます。

8階から見下ろす 多くの椅子やソファが設置されている

アトリウムの天井を利用してプロジェクションマッピングが20:00から10分間上映されました。上映時刻は船内放送で案内があります。船内WiFiのイベントのメニューにも掲載されています。

プロジェクションマッピング

●レストラン

食事は、夕食(2000円)、朝食(620円)のバイキングです。夕食時にはテイクアウトメニュとして、カレーライスセット(700円)、オムライスセット(600円)などもあります。

夕食時のオープン直後は混雑していて、入口に満席のプレートが掛かっていました。利用率は高いです。

レストラン入口 窓際の席

一人乗船の人には窓際の席がお勧めです。隣の席との間隔が狭いので一席置きに座っています。両側を挟まれるとキツイです。

奥の席 入口の席

2日連続で食べましたが、夕食は違うメニューも出ていて、飽きる事はありませんでした。料金2000円なら、リーズナブルかなあと思います。料理は同じ料理が2列並んでいて分散を図っています。サラダコーナーやデザートのお皿や容器が、料理のすぐ横に置いてあって親切です。ただ、御飯、みそ汁のコーナーはトレーを置く場所が狭く、動線が重なって混雑しました。

ビュッフェコーナー 

多くのテーブルで食べ終わったトレーと食器が置かれたままになっています。セルフで返却してくれとも書いていないし、そもそも返却口がみつかりません。レストラン内をぐるっと廻ってみると返却口がみつかりました。入口付近に座った人には見えない場所です。


◆志布志入港

日の出の頃、デッキには多くの人が出ていました。昨夜の揺れの話をしている人もいました。今は、揺れは治まっています。

日の出

朝食は開店直後にレストランに入りました。レストランは空いています。

船窓には都井岬

デッキには大きな四角の椅子が4個あります。これまで見たことがない椅子です。

志布志港の東には南北方向に長い防波堤があって、港を護っています。

デッキの四角い椅子 防波堤の南側を大きく回って入港

ほぼ定刻(8:55)に着岸です。岸壁に降りるまでに25分くらい掛かりました。志布志港のタラップはスロープです。

着岸 下船完了

◆鹿児島観光

志布志港から鹿児島中心部まで高速シャトルバス(さんふらわあライナー)が出ていて、乗船客は無料(要予約)で乗車できます。JR志布志駅が最寄りの駅ですが、本数が少なく丁度良い時刻の列車がないので、JRは実質利用できません。

当初は高速シャトルバスで志布志~鹿児島を往復して、短い時間で鹿児島を観光しようと考えていましたが、今回さんふらわあトラベルのお得なツアーがみつかったので、楽々旅行になりました。ツアーのバスは岸壁に停まっていたので、ターミナルに入ることなく乗車できました。

西郷洞窟は車窓見学

仙厳園は、磯庭園と呼ばれていた時代に来たことがあります。もう30年くらい前の話です。

仙厳園から見た桜島

御膳所 桜華亭で薩摩郷土料理御膳を食べました。食事料金もツアー代金に込みです。

薩摩郷土料理御膳 桜島を見ながらの昼食

仙厳園からは桜島フェリーや屋久島/種子島行きのジェットフォイルが見えました。遠くには開聞岳の山頂が見えました。

手前はJR日豊本線

幕末の歴史に疎く、NHKの「西郷どん」も観ていない私ですが、車内でのガイドさんの説明や、西郷南洲顕彰館の展示から、少しは知識を得られた気がします。

南洲墓地

最後におおすみ弥五郎伝説の里で温泉に浸かってツアーを終えました。

バスに乗車した時には「フェリーは待ってくれないので時間厳守でお願いします」と案内されましたが、余裕でターミナル帰着です。個人で行動するのと違って、時間を気にする必要がないので非常に楽なお手軽ツアーでした。

駆け足観光のため、観光地では十分に時間が取れない問題点もありましたが、船に乗船するのが主目的の私にとってはこのツアーは最良の選択でした。


◆志布志出港

志布志港の待合所は混雑していました。出港の約50分前に乗船を開始しました。

乗船開始

舷門TV画面の乗船歓迎のメッセージは、商船三井フェリーの「さんふらわあ ふらの」と同じです。

乗船歓迎のメッセージ

ほぼ定刻(17:55)に出港です。岸壁では陸上スタッフが手を振って見送ってくれました。デッキに出ている乗客の中には、往きの航海で見かけた人が何人かいます。弾丸の利用者はかなりいる様です。

定刻出港 スタッフの見送り

遠くの空は夕日で赤く染まっていました。

志布志港出港 夕日で赤く染まる空

本航海は、ほぼ満船の状態で、アップグレード可なのはウィズペットのデラックスのみです。最近のフェリーでは、ウィズペットの部屋から埋まると聞いたことがありますが、本船は状況が異なる様です。

アップグレードの案内

●案内パネル/船内WiFi

アトリウム周辺にはTV画面式の案内パネルがあって、指でメニュを選択すると、船内情報や寄港地情報が得られます。
ICカード式の船室のカードキーには船室の番号が表示されていませんが、このパネルにかざすと自分の船室が表示されます。
ライブラリーのメニューでは、戦前の大阪商船の客船や、商船三井系列のフェリー会社の歴代のフェリーの写真が表示されます。

カードキーで
客室の場所が表示される
ライブラリーメニュー

船内WiFiは船室内にも電波が届きます。船内コンテンツメニューSSQでは、案内パネルと同様に、船内案内や寄港地案内が表示できます。さらに100タイトルの映画が無料で観られるメニューがあります。コミュニケーションボードというメニューがありましたが、使用方法がよく分かりませんでした。

最近のフェリーでは当たり前のインターネット接続が可能ですが、満船状態の船内では、ほとんど使えない状態です。

船内コンテンツメニューSSQ 100タイトルの映画が観られる

●船室(スーペリア)

往きも帰りも同じ部屋番号でした。スーペリアの船室は、伸縮式のソファーからカーペットの柄まで「さんふらわあ ふらの」と共通点が多いです。コストの圧縮に繋がったでしょうか?「さんふらわあ ふらの」は2段式の寝台でしたが、さつまは通常のベッドです。2人定員ですが、1人利用でも追加料金は発生しません。

TVで船内案内やブリッジからの映像が映ります。チャンネルには「航路情報」があるのに映りませんでした。映画は1チャンネルのみです。SSQのように100タイトルがオンデマンドで観られるよう、アップグレードを願います。

スーペリアの船室 

シャワーの温度が不安定だったこと以外は、快適な船室でした。

バスルーム

船室前の通路は、先日乗船した「おれんじ えひめ」と比べると、上質感に劣ります。

スイート船室が並ぶ8階の通路 デラックス・スーペリア船室が並ぶ7階の通路

ツーリストやプライベートベットの船室の近くにはコイン返還式のコインロッカーが多く設置されていて便利です。

6階通路のコインロッカー

ウィズペットのデラックス船室は7階船尾に10室あって、その後方のデッキにドックランがあります。

ドックラン


◆大阪南港入港

帰りの航海は揺れはありませんでした。揺れが無くなった性か、往きには感じなかった激しい振動を感じました。アトリウムにいても感じますが、船尾のデッキに出るともっと強く感じます。双眼鏡越しに見た他船の画像が揺れて、船名が読み取れられないくらいです。

友が島を見ながら朝食

さつまの救命浮環に新品のような輝きがありません。製造表示を見るとは2016年10月です。ひょっとしてこれは先代さつまから移設された物のでしょうか?もし、そうだったら、臨時で神戸~別府に就航していた「さんふらわあ さつま1」の救命浮環はどうなっていたのでしょうか?

2016年10月製造の救命浮環

7:40定刻着岸です。前方には別府航路の「さんふらわあ こばると」が到着していました。

大阪南港着岸

下船まで20分くらい掛かりました。第一ターミナル行きのシャトルバスはピストン運航していました。

乗船お礼のメッセージ 第一ターミナル行きシャトルバス

シャトルバスを降りると、エレベータで上階に上がる必要があるので、ここでも待たされます。

大阪南港コスモフェリーターミナル

天気が良く順光だったので、ATCのウミエール広場から、さつまの全景写真を撮ってきました。

さんふらわあ さつま(左)
さんふらわあ こばると(右)
さんふらわあ さつま

さんふらわあ さつま(左)、さんふらわあ こばると(右)

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