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津名港の「むこがわ」 |
大阪湾からまた一つフェリー航路が無くなった。御盆休みに高校野球で賑やかな甲子園の脇を抜けてフェリー乗り場に行った。そこには”航路廃止”のはり紙があり、びっくりした。反面「やっぱり、無理だったのか」というのも正直な感想だった。「乗用車に同乗の旅客は運賃無料」とおもいきった方法で、明石海峡大橋に対抗していたのだが、歯が立たなかったようだ。
ここのフェリーのなかでも「むこがわ」は、近距離フェリーにしては非常にグレードの高い船で、客室の天井が非常に高く、座席もゆったりとしている。また、デッキの一部が木甲板であることも特筆できる。日本の近距離フェリーのなかではトップレベルにあるフェリーではないだろうか。
甲子園フェリーは、8月31日 西宮発13:40 津名発13:30最終便をもって28年の歴史に幕を閉じた。
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津名に着いた後は、大阪湾フェリーで泉佐野に渡った。船は「フェリーたちばな」、和歌山〜小松島航路を走っていたフェリーだ。航路再編後、新設されたこの航路に移ってきた。資料では1986年建造となっているが、「むこがわ」(1990年建造)と比較して、かなり古くさい印象をうける。泉佐野へは関西空港のすぐ横を抜けていくので、一般の乗客でも退屈せずに束の間の船旅を楽しめる。泉佐野港は関西新空港への連絡橋の根元にある。
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泉佐野から関西空港に渡り(電車で1駅間)、ジェットフォイルで神戸に戻った。帰国ラッシュと言われた日だったが、ジェットフォイルはよく空いていた。30分弱の航海は快適だったが、神戸の乗り場(ポートアイランド)から三ノ宮までのシャトルバスもほぼ同じだけ時間が掛かるし(渋滞のため)、空港島内でもバスに乗り換える必要があり、ジェットフォイルの高速性が活かせられていないように感じた。
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明石と岩屋を結ぶ高速挺(岩屋渡し)に乗船した。橋ができた後も以前のダイヤ通りに運航しているとのことだが、乗船客数を見る限りこちらも苦戦しているみたいだ。岩屋港からバスに乗り阪神淡路大震災の震源地にある「野島断層記念館」を見学した。明石への帰りは西淡路ラインを利用することにした。ここから富島港までは歩いていける。この航路は、30年くらい前淡路の親戚の家に行くためよく利用していた航路である。その頃は明石から淡路の西海岸沿いに「八幡丸」が走っていた。現在は富島港から明石までは1時間に1本高速挺が就航している。所要時間は約20分。バスで岩屋を経由して行くよりも運賃が安く便利である。
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青木乗り場も、高松航路が喩一就航するのみとなってしまった。以前は4社が共同運航していたが、10月からは1社のみの運航となる。さらに、乗り場が神戸の中心部に近い新港第3突堤へ移設される見込みのため、歴史あるこの乗り場からフェリーが消える日も近いようだ。
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震災で大きな被害があった中突堤周辺も復旧工事が終わり、もはや震災の跡はわからない。船客ターミナルも奇麗になった。しかし、もはや神戸港には旅客船はいなくなってしまった。港巡りの観光船やレストラン船を除けば、関西汽船の別府航路の1往復と高松行きのジェットフォイルが接岸するのみとなってしまった。観光客は多いのに活気を感じないのは私だけであろうか。