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ふなむしのひとりごと(2020)


■なぜあの救命艇だけ小さい?(4/26)

以下の文書は船舶救命設備規則を読み、解釈して記載しています。記載内容に誤りがある恐れがあるのでそのつもりで読んでください。
小さな誤りはご了承ください。大きな誤認があればお知らせ頂ければ幸いです。


飛鳥Ⅱの救命艇

飛鳥Ⅱには片舷に5艇、両舷で10艇の救命艇が搭載されています。10艇はすべて同じではなく、3つのタイプに分かれます。

タイプAの救命艇は、本船が海難事故(含む沈没)時に脱出するための艇です。タイプBは救命艇兼用テンダーボートで非常時には救命艇として使われますが、着岸できないような小さな港で本船が沖合に停泊した時に、テンダーボートとして本船と陸の間を乗客輸送します。

ではタイプCの役割は何なんでしょう? 形はタイプAの救命艇と同じですがサイズが小さいです。

船舶救命設備規則によると、この小型の救命艇は救助艇兼救命艇と思われます。

救助艇は遭難者の救助及び救命いかだの支援のためのボートで、外航客船の場合は各々の舷に1艇づつ設置する必要があります。救助艇の要件の一つとして、その長さは3.8m~8.5mと決められています。そのため、タイプCはタイプAより小型になっています。また救命艇を海面に下ろす時間が30分以内とされているのに対し、救助艇は5分以内と迅速性が要求されています。

救助艇は救命艇の要件を満たせば兼用することができるため、多くの外航客船では救助艇兼救命艇を搭載しています。

おれんじえひめ 救助艇 フェリーきたきゅうしゅうⅡ 救助艇

船舶救命設備規則には、内航フェリーは救助艇を1艇搭載し、その救助艇は高速救助艇でなければならないと規定されています。高速救助艇は20ノット以上の最高速力が要求されます。

また、船舶救命設備規則は救命いかだ支援艇についても規定しています。救命いかだ支援艇は海面に下ろされた救命いかだの動きをコントロールする役目を負い、船舶救命設備規則では「救命いかだを運航する船員が乗り込んでいない救命いかだを支援するための艇」と定義されています。しかし、どのような船舶が救命いかだ支援艇を搭載すべきなのかは船舶救命設備規則からは読み取れませんでした。

救命いかだ支援艇が救命艇、救命いかだ又は救助艇の要件に適合する場合には救命艇、救命いかだ又は救助艇と兼用することができます。
内航フェリーの場合、救助艇兼救命いかだ支援艇を搭載しているものと思われます。但し限定沿海のフェリーは救命いかだではなく救命浮器を搭載しているので単純に救助艇だと思います。


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